骨折・骨の病気・関節炎illness

手術が適応な骨折は、できるだけ早く外科的な整復、固定を行うことが必要です。骨に生じる病気や関節炎もできるだけ早く診断し、その病気の原因に応じた適切な治療を行うことが重要です。各種骨折、骨の変形など骨の病気、痛み止めをのんでも改善しない跛行、関節炎といわれたが原因はわからないなどご相談ください。

骨折

KYON社のALPS/Advanced Locking Plate System(チタンのロッキングプレートシステム)、SYNTHES社の各種プレートシステム、IMEX社の創外固定装置など骨折整復固定に用いる器械を取り揃え、治療にあたります。

橈尺骨骨折

橈尺骨骨折とは

前腕を形成する橈骨と尺骨の骨折。高所から落下した際、もしくは日常生活の中で起こります。病的骨折といわれるほど癒合不全が起こる可能性が高い部位です。

好発犬種

トイプードル、ポメラニアン、チワワ、パピヨン、イタリアングレーハウンドなど小型犬

診断

レントゲン検査

治療

プレート固定、創外固定など。

骨盤骨折、仙腸関節脱臼

骨盤骨折、仙腸関節脱臼とは

多くは交通事故などの外傷にともなって起こります。

好発犬種

あらゆるイヌ、ネコ

治療

プレート固定、スクリュー固定、Transilial Pinなど

大腿骨骨折

大腿骨骨折とは

股関節と膝関節のあいだにある骨の骨折です。落下や交通事故などの外傷にともなって起こります。

好発犬種

あらゆるイヌ、ネコ

治療

ピンニング、プレート固定、創外固定、ネイルなど

大腿骨頭骨折

大腿骨頭骨折とは

股関節の骨盤側の受け皿である寛骨臼におさまっている大腿骨の骨頭部分の骨折です。早期に手術を行うことができれば、股関節を温存できる可能性があります。

好発犬種

あらゆる犬種

治療

ピンニングなど

脛骨骨折

脛骨骨折とは

膝関節と足根関節の間にある、すねの骨の骨折です。落下等の外傷にともなって起こります。

好発犬種

あらゆるイヌ、ネコ

治療

創外固定、プレート固定、ピンニングなど

上腕骨骨折

上腕骨骨折とは

肩関節と肘関節の間の骨の骨折です。落下や交通事故などの外傷にともなって起こります。

好発犬種

あらゆるイヌ、ネコ

治療

ピンニング、プレート固定、創外固定、ネイルなど

中手骨・中足骨骨折

中手骨・中足骨骨折とは

指の骨の骨折です。落下等の外傷にともなって起こります。

好発犬種

小型犬、ネコで多い

治療

プレート固定、ピンニング、外固定など

上顎骨・下顎骨骨折

上顎骨・下顎骨骨折とは

あごの骨の骨折です。外傷にともなう場合と、歯周病にともなって起こる場合等があります。

好発犬種

あらゆるイヌ、ネコ

治療

プレート固定、ピンニング、創外固定、外固定など

骨の病気

骨変形

症状:骨の変形。骨成長異常の場合、前肢もしくは後肢の跛行がみられます。

骨変形とは

骨折後に変形癒合し骨が曲がってしまう場合と、骨の端にある成長板が早期閉鎖を起こすことで骨の伸びが止まり、骨が変形する場合があります。橈骨、尺骨、脛骨などで起こります。骨に変形が生じると、関節の負荷が増大し強い痛みがでることがあります。

好発犬種

70〜80%骨成長異常の場合は大型犬

診断

レントゲン検査

治療

骨切り術をおこない骨の変形矯正を行います。

脛骨異形成

症状:後ろ足が曲がっている、脛骨の変形、膝蓋骨脱臼をともなう場合や足根関節への負荷が増大している場合は疼痛をともない、跛行します。

脛骨異形成とは

脛骨の内側と外側の長さの不一致により、脛骨が変形する病気。

好発犬種

ダックス

診断

レントゲン検査など

治療

脛骨骨切りをおこない、脛骨の変形矯正をします。

関節炎

関節炎(OA / 骨関節症、DJD / 変性性関節炎)

症状:前肢や後肢の跛行

関節炎(OA / 骨関節症、DJD / 変性性関節炎)とは

関節内に炎症が生じている状態。「足が痛い・レントゲンで骨に棘がある=関節炎=治らない」という解釈をされている場合がありますが、実際には加齢や過体重による原発性の関節炎であるより、何らかの関節疾患(股関節形成不全や肘関節形成不全など)が存在し二次的に関節炎が生じている場合の方が圧倒的に多いです。基礎的な関節疾患がないかどうかを判別する必要があります。

好発犬種

特になし

診断

レントゲン検査、関節液検査など

治療

関節疾患から関節炎が生じている場合、外科手術が適応になりますが、外科の適応期を過ぎていることもあります。このような場合や加齢や過体重による関節炎の場合には内科治療が適応です。減量、リハビリ、消炎鎮痛剤、関節鏡視下関節洗浄、関節内注射など様々な方法を組み合わせて治療します。

多発性関節炎

症状:前肢または後肢の跛行、元気食欲不振、発熱、前足がオットセイのような形になる、手首が床に着く、手首・足首・膝の関節の腫れや痛み

多発性関節炎とは

リウマチ、自己免疫介在性関節炎など色々な部位の関節で炎症が起こり、痛みを生じます。放置しておくと関節軟骨の糜爛が進み、不可逆的な痛みが発現するため、適切に診断し速やかに治療を開始する必要があります。

好発犬種

あらゆる犬種。リウマチや免疫介在性関節炎にはダックスやマルチーズが多い。

診断

レントゲン検査、血液検査、関節液検査など

治療

それぞれの関節炎に適した内科治療が必要。内科治療に反応しない場合、救済的な外科処置として全関節固定術をおこなうこともあります。